大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成元年(特わ)1341号 判決

本店所在地

東京都渋谷区桜ケ丘町三一番一五号

成城トレーディング株式会社

(右代表者代表取締役 野尻兵藏)

本籍

東京都渋谷区本町二丁目七番地

住居

東京都町田市つくし野三丁目五番地四六

会社役員

野尻兵藏

昭和八年七月四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人成城トレーディング株式会社を罰金二六〇〇万円に、被告人野尻兵藏を懲役一年に処する。

被告人野尻兵蔵に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人成城トレーディング株式会社(以下、被告会社という。)は、東京都渋谷区桜ケ丘町三一番一五号に本店を置き、不動産の売買、仲介、管理等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人野尻兵藏(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として、被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和六〇年八月一日から昭和六一年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億九四〇九万八七〇九円(別紙1修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が一億一三一六万一〇〇〇円あったにもかかわらず、仲介手数料、受取家賃、雑収入を除外し、架空の仕入諸掛、販売手数料を計上するなどの方法により、所得及び課税土地譲渡利益金額を秘匿した上、昭和六一年九月二五日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七九二万九七一三円、課税土地譲渡利益金額が一六五万六〇〇〇円であり、これに対する法人税額が七一一万〇四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第一〇二三号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億〇五六九万二六〇〇円と右申告税額との差額九八五八万二二〇〇円を免れた(別紙2脱税額計算書参照)ものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通

一  南谷宗夫、小竹哲也の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の調査書二〇通及び補正調査書

一  検察官作成の捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成元年押第一〇二三号の1)

(法令の適用)

判示所為 被告会社 法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により一五九条二項

被告人 法人税法一五九条一項

刑種選択 被告人 懲役刑選択

執行猶予 被告人 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社 罰金三〇〇〇万円 被告人 懲役一年)

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

成城トレーディング株式会社

自 昭和60年8月1日

至 昭和61年7月31日

〈省略〉

別紙2

脱税額計算書

成城トレーディング株式会社

自 昭和60年8月1日

至 昭和61年7月31日

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例